5月22日、2022年「春の勉強会」が開催されました

新緑がさわやかな5月22日、新宿で「春の勉強会」が開かれました。昨年の「春の勉強会」は緊急事態宣言の中で、参加者を50人に制限し、ZOOM配信も併用したハイブリッド・セミナーでした。今回は人数制限を設けず、オンラインも行わなかったため、実際に何人くらいの人が来てくれるのか気がかりでした。幸いに、そんな心配は無用、用意したすべての会議机が埋まり、先生方やスタッフも入れて80人近い参加者がありました。

開会の挨拶に続き、布川香織先生より、先月急逝された武居正郎先生へのお別れの言葉をいただきました。いつも窓際の席から話を聞いてくださった先生の姿が見えません。司会者も絶句してしまい、沈黙の時間がありました。会場の皆さんそれぞれ、武居先生に深い思いを寄せていたことでしょう。

 

勉強会の最初は、志方記念会三木クリニック院長 三木英司先生の講話。「つぼみの会への感謝-教えて頂いた多くの事」というテーマで、70年前、丸山先生とともにつぼみの会を設立した当時や、キャンプの思い出などを話してくださいました。昨年は「今こそ『養生学』!」という本を出版されました。御年90を超えて、現役のお医者さん。人生の先達として、もっと多くのお話を聞きたいと思いました。

 

次の講演は、都立墨東病院小児科、折本竜太先生。「1型糖尿病を一生の仕事にしたいため、小児科医になりました」というテーマです。先生は2019年に医学部を卒業し、研修医を経て今年4年目のフレッシュなお医者さんです。冒頭に、「※注意!糖尿病についての医学的、専門的なお話はしません。」とのスライドで笑いを取りました。

先生は3歳で1型糖尿病になりました。糖尿病以前の記憶がほとんどなく、糖尿病は自分にとって、気づいたらそばにあったもの。もし1型糖尿病でなかったら今の自分はないし、全く違う人生を歩んでいる気がする・・・。肯定的に自分を受け入れる先生の姿がとても印象的でした。

夢を叶える障害に1型糖尿病はなりえません。病気に関係なく、運や実力に依る、ということです。ただ、どんな形であれ、1型糖尿病を持っている、ということは前進するモチベーションにするには十分だと思います。1型糖尿病の方はその根気がある方ばかりです。

先生の、1型の子どもたちに勇気を与える力強い言葉が心に残りました。

3番目に、早稲田大学人間科学研究科博士課程 田島えみさんの研究報告「思春期の1型糖尿病患者の心理面の検討」です。つぼみの会は学生さんや研究団体のアンケートに協力しています。今回の、思春期の1型糖尿病患者の療養における難しさに関する調査、療養行動とHbA1cに影響を及ぼす要因など、非常に興味があります。ぜひ研究を継続していただきたいと思います。

最後は拡大ミーティングです。パネルディスカッションや分科会(グループミーティング)の代わりに、会場全体を一つのグループとして質問や意見交換を行うという企画です。初めに皆さんの関心の高い新型インスリンポンプ ミニメド770Gのショートレクチャーを伊藤新先生にお願いしました。続いて布川香織先生の司会で、補食や受験勉強と血糖値管理、1型糖尿病と新型コロナウイルスについてなどの問題を取り上げました。ただ、会場からほとんど質問が出なかったことは、今後の課題になると思います。

兼松幸子先生の閉会の挨拶で春の勉強会が終了しました。

総会を含めると約4時間。お陰様でとても中身の濃い、充実した会になりました。講演者、先生方、スタッフ、何よりも会場に来られた皆さんに心から感謝しております。