11月6日「秋の家族講習会」が開催されました

秋も深まり、好天に恵まれた11月6日、つぼみの会恒例の「秋の家族講習会」が開かれました。会場のあいおいニッセイ同和損保新宿ビル大ホールを使うのも今年で3回目です。定員500人の広々としたホールはソーシャルディスタンスが完璧です。しかし、事前申し込み制にしなかったため、実際に何人くらい来てくれるのか心配でした。1時の開会挨拶の時は空席が目立ちました。途中から席が埋まり始め、昨秋の家族講習会とほぼ同数の来場者があり、安堵しました。

トップバッターは片山景さん、片山由季さん母娘の体験談です。お二人には2013年に春の家族講習会でダイビングの体験を話していただきました。あれから9年、今回のテーマは「2回の海外短期留学を振り返って」です。景さんは高2の時8日間のフィリッピン、高3の時マルタへ語学短期留学に参加しています。

地中海の島国、マルタへ一人で飛び立つ娘を成田で見送ったお母さんの心境はどうだったでしょう。行く前に心配するよりも、インスリン、診断書、保険、考えられ心配事への対応をしっかり行い、連絡手段を確保し、あとは自分の娘を信頼する。1型を理由に夢をあきらめることはない。やろうと思えば何でもできる。お二人からそんな強いメッセージをいただきました。留学中のことをとても楽しそうに話す景さんの笑顔が印象的でした。

講演の最初は、株式会社MOF代表取締役社長、家族・医療専門臨床心理カウンセラー前田利恵子先生。テーマは「人生の主人公~治療は傍らに~」前田先生は東京女子医大糖尿病センター非常勤講師、日本小児・思春期糖尿病学会理事など、多方面で活躍されています。

1型糖尿病が自分の人生の主人公になる、なんてことがない生き方をしたいね、治療は傍らにあるものでしょう?主導権も、人生の主人公も「あなた」であること。「1型糖尿病」に人生のハンドルを渡さない。この言葉を聞いて、胸のつかえがすっきりした方が多いのではないでしょうか。

自分の行動を決めるのはあなた自身。まず、命に関わる事態への危険と、ミニマムな状況だけを考えよう。心が疲れているときは、元気になってからでもいい…。

ご自身が11歳で1型糖尿病を発症し、様々な経験をされた先生の言葉には、あ、そうか、と納得するところがたくさんありました。

次の講演は日本大学医学部小児科学系小児科学分野臨床教授、浦上小児内分泌・糖尿病クリニック院長の浦上達彦先生。演題は「小児から成人医療へのトランジション」です。

トランジションとは推移、変遷とか過渡期という意味で、患者が小児科から内科へ移ることを指しております。しかし単純に、「高校を卒業しました。次回からは内科で診てもらってください」と言えるものではないし、内科に移るメリット、デメリットはどうなの、という疑問もあります。先生はデータを交えてとても分かりやすく説明してくださいました。

15歳の時に小児科に通院した患者569名の、その後も継続して小児科に通院している割合を見て少し驚きました。20歳で74.2%、30歳で56.6%、50歳で51.3%。なんと半数以上が小児科に残っていました。なぜか、という疑問を持ちましたが、目的ある計画されたトランジションが必要だ、として、移行期医療合同委員会がアンケート調査を行い、研究を進めているそうです。小学生の患者さんのご家族も、まだ先のことと思っていたけれど、とてもためになった、と言っておりました。

最後はパネルディスカッション。顧問医布川香織先生の司会で、前田利恵子先生、片山由季さん、片山景さん、そして顧問医の田島華子先生がパネラーに入りました。低血糖の問題とか、会場から色々な質問が出たのですが、時間が短かったこともあり、問題を掘り下げることがあまりできませんでした。早く、以前のような車座になっての分科会(グループミーティング)を復活させたいな、と強く思いました。

三木英司先生の閉会の挨拶で秋の勉強会が終了しました。

講演者、先生方、何よりも会場に来られた皆さんに心から感謝しております。