インスリン欠損症(1型糖尿病)とは

糖尿病は大きく分けると2つのタイプがありますが、インスリンというホルモンの欠損または不足のため、ブドウ糖をカロリーとして細胞内に取り込むことのできない代謝異常です。

従来インスリン欠乏の程度によりインスリン依存型、インスリン非依存型と分類されていましたが、1999年から日本糖尿病学会は、インスリン欠乏の成因から1型糖尿病、2型糖尿病という呼称に統一しました。

1型糖尿病は膵臓のβ細胞が破壊されて体内でインスリンが製造できなくなり、インスリンを外部から補給するため、インスリン注射が必要なタイプです。日本では10万人に1人から2人の発症率です。成人病としての2型糖尿病に対して、幼い子供に多く発症することから小児糖尿病ともよばれますが、大人になってから発症する場合もあります。

2型糖尿病はβ細胞の機能はある程度保たれているのですが、インスリンの分泌が低下したり、肥満などが原因でインスリンの作用に鈍感になって発症します。生活習慣病として大きな社会問題となっているのはこの2型糖尿病です。

長い人類の飢えの歴史のなかで、血液中の糖を高くするホルモンは何種類も造られているのですが、血糖を下げるホルモンはインスリンが唯一のものであるため、1型糖尿病の患者は体外からインスリンを取り入れる注射を毎日数回行なわないと生きていけません。また一度破壊されてしまったβ細胞は増殖回復することがないので、インスリンの注射は一生続きます。 小さなこどもでも自分で血糖を測定したり、インスリン注射をします。サマーキャンプは血糖測定やインスリン注射、食事や運動など血糖コントロールの仕方を学ぶとても良い機会です。

小さなこどもたちがこれから一生涯、体に針を打ち続けなければならないというのはいかにも痛々しく、本人にとっても家族にとっても大変な精神的な打撃となります。さらに幼稚園や学校や職場でいじめや偏見や差別に出会うことも多く、これらのことも良好な血糖コントロールを困難なものにしています。

良い血糖コントロールのためには、適切な医療機関と周囲のあたたかい理解が必要です。血糖コントロールができれば、進学・就職・結婚・出産など全く普通の人と同じ生活ができ、中には烈しいプロスポーツの世界で活躍する人もあります。しかし精妙にできている人間のメカニズムの一部を人為的にやろうとするのはなかなか難しく、発症して15年から20年もたつと網膜症、腎症、神経症の合併症が出る場合もあります。