11月3日、2021年「秋の家族講習会」が開催されました

今年も11月3日に「秋の家族講習会」が開かれました。5月に開いた「春の勉強会」は緊急事態宣言の中で、参加者を50人に制限し、ZOOM配信も併用したハイブリッド・セミナーでした。今回は緊急事態宣言が全面解除になって約1か月後の開催で、会場も広々としたあいおいニッセイ同和損保ビルの大ホールを使わせていただけ、緊迫感から少し解放されたような気持ちで当日を迎えました。しかし、事前申し込み制にしなかったため、実際に何人くらいの人が来てくれるのか心配でした。幸いに、ソーシャルディスタンスを徹底した会場で、会議机が7割くらい埋まった状態となり、約80人の参加者がありました。

家族講習会のトップバッターはサマーキャンプOGで、小学校で算数の先生をしている、井上真生子さんの体験談。テーマは「1型糖尿病と共(友)に元気な23年間」でした。1型糖尿病を「友」と呼び、病気とうまく付き合っていこうという井上さんの、明るく前向きな生き方に、我が子もこんな風に育ってほしい、と共感されたご家族がたくさんいらっしゃいました。

講演の最初は、三楽病院小児科部長、佐藤詩子先生。「1型糖尿病とこどもの成長・思春期」がテーマです。1型糖尿病とは何か、という基本中の基本から、ペンか、ポンプかの悩み、子どもの発達に応じたかかわり方、食事の問題など、非常に幅広い話題を、病院のあるお茶の水界隈の風景を交えながら分かりやすくお話してくださいました。HbA1cだけでなく、TIR(Time in Range:目標血糖値範囲)に注目を、とのお話は大変勉強になりました。

講演の後、今月誕生日を迎えられる先生にお花を差し上げました。サプライズのプレゼントに、とても喜んでくださいました。

次の講演は、駒沢女子大学健康栄養学科教授、西村一弘先生。「カーボカウントを基礎から学んで、食事を楽しむ!」というテーマで、カーボカウントを非常に分かりやすく説明してくださいました。おかずは一律20gと考えてよいなど、カーボカウントって意外と簡単、と思った方も多かったのでは。また、食事の順番で、今まで、野菜→肉・魚→ご飯類の順で食べるのが良い、とされていたのが、肉や魚を先に食べる方が血糖値は上がりにくい、ということが最近分かってきたというお話に、会場全体から驚きの声が上がりました。

最後は恒例となったパネルディスカッション。顧問医、布川香織先生の司会で、西村一弘先生、佐藤詩子先生、井上真生子さんが登壇されました。学校での病名の公表について、合併症の心配、小児科から内科に移るトランジション、リブレセンサーの痒みの問題…、あるあるな質問が会場からたくさん寄せられました。小学生のお子さんからの、パン屋さんの菓子パンのカーボはどうしたらわかりますか、という質問には、西村先生は、大変良い質問ですね、とにっこりされていました。たとえばメロンパンはお菓子と考えてよいそうです。

武居正郎先生の閉会の挨拶の後、会場に来られていた、つぼみの会の生みの親、丸山博先生がお話されました。とてもお元気そうでした。

4時間30分にわたる家族講習会、お陰様でとても中身の濃い、充実した会になりました。講演者、先生方、スタッフ、何よりも会場に来られた皆さんに心から感謝しております。